飲食店の利益が残らない本当の理由 ── 原価・人件費・見えないコストの話
QuickEats運営
『毎月それなりに売れているのに、手元にお金が残らない』
飲食店を経営していて、こう感じたことはありませんか?実はこれ、多くのオーナーが通る道です。売上が悪いわけではないのに利益が出ない。その原因は、数字の見方にあるかもしれません。
まず押さえたい3つの数字
飲食店経営で最初に見るべき数字は、たった3つです。
- 原価率 ── 売上に対する食材費の割合。目安は30%前後
- 人件費率 ── 売上に対する人件費の割合。目安は25〜30%
- FL比率 ── 原価+人件費の合計。60%以下が健全ライン
FL比率の内訳(月商300万円の例)
たとえば月商300万円の店で、食材費が100万円(33%)、人件費が90万円(30%)なら、FL比率は63%。この時点で家賃や光熱費を払う前に、売上の6割以上が消えています。
『原価率30%』の落とし穴
よく『原価率は30%に抑えましょう』と言われますが、これはあくまで全体の平均です。
実際には、メニューごとに原価率はバラバラです。
- ドリンク ── 原価率10〜15%(利益率が高い)
- サラダ・前菜 ── 原価率20〜25%
- メイン料理 ── 原価率30〜40%
- 刺身・高級食材 ── 原価率40〜50%以上
メニュー別の原価率
大事なのはメニュー全体のバランスです。原価率の高いメニューばかりが売れていると、全体の利益が圧迫されます。逆に、ドリンクやサイドメニューがよく出る店は、メインの原価率が多少高くても利益が残ります。
人件費は『時給×時間』だけじゃない
人件費を考えるとき、シフトに入っているスタッフの時給だけを見ていませんか?
実は見落としがちなコストがあります。
- アイドルタイム ── ランチとディナーの間の暇な時間帯にもスタッフがいる
- 残業 ── 閉店後の片付けや仕込みが毎日30分ずつ延びている
- 採用コスト ── 求人広告費、面接の時間、新人の研修期間
- 離職コスト ── せっかく育てたスタッフが辞めて、また一から
特に人手不足の今、採用→研修→離職のサイクルが短くなっている店は、目に見えない人件費が膨らんでいます。
見えないコスト、気づいていますか?
原価と人件費以外にも、利益を削る要因があります。
- フードロス ── 仕込みすぎ、期限切れ、オーダーミスによる廃棄
- オペレーションロス ── 注文の聞き間違い、伝票の書き間違い、会計ミス
- 機会損失 ── 満席で入れなかったお客様、待ち時間が長くて帰ったお客様
これらは数字として見えにくいので、つい放置しがちです。でも積み重なると月に数万〜十数万円の損失になることもあります。
今日からできる3つのこと
1. メニューごとの原価を一度計算してみる
全メニューでなくていいので、売れ筋トップ5の原価率を出してみてください。意外なメニューが利益を圧迫しているかもしれません。
2. シフトの『ムダ時間』を洗い出す
1週間分のシフト表を見て、客数に対してスタッフが多すぎる時間帯がないか確認しましょう。アイドルタイムに1人減らすだけでも、月の人件費は数万円変わります。
3. 1日の廃棄量を記録する
捨てた食材をメモするだけでOKです。1週間続けると、仕込み量の最適化のヒントが見えてきます。
数字は敵じゃない
数字を見るのが苦手なオーナーは多いです。でも、数字は経営の味方です。
毎月の売上・原価・人件費の3つだけでも記録していくと、季節ごとの傾向や、施策の効果が見えるようになります。
完璧にやる必要はありません。まずは今月の数字を出してみるところから始めてみてください。
このコラムは飲食店経営のヒントをお届けする連載シリーズです。次回は「ピーク時でも回る店の共通点」をテーマにお届けします。