コラム 2026年4月20日 3分で読める

人手不足時代を乗り越える ── 飲食店の省人化と働きやすさ

Q

QuickEats運営

飲食業界の有効求人倍率は全産業平均の約2倍。つまり、求職者1人に対して飲食の求人が2件以上ある状態です。

人が来ないのは、あなたの店が悪いからではありません。業界全体の構造的な問題です。

業種別 有効求人倍率(2025年)

飲食サービス
3.2
小売業
2.1
製造業
1.4
事務職
0.8

2つのアプローチ

人手不足への対策は、大きく2つあります。

  1. 少ない人数で回す(省人化)
  2. 辞めない職場を作る(定着率向上)

どちらか一方ではなく、両方やることが大切です。

省人化:人を減らすのではなく、作業を減らす

省人化というと『人を切る』イメージがありますが、そうではありません。人がやらなくていい作業を減らすことです。

注文を自動化する

お客様が自分のスマホやタブレットで注文する仕組みを入れれば、ホールスタッフの注文業務がなくなります。

ホールスタッフの業務時間配分

注文取り 30% (30%)
配膳 25% (25%)
会計 20% (20%)
片付け 15% (15%)
接客・案内 10% (10%)

注文取りが自動化されれば、業務の30%が削減されます。3人必要だったホールが2人で回るようになる計算です。

会計を簡素化する

テーブルでモバイル決済ができれば、お客様はレジに並ばずに帰れます。レジ担当が不要になり、会計ミスもゼロに。

仕込みを見直す

メニュー数を絞る、半加工品を活用する、仕込みの手順を標準化する。キッチンの作業時間を減らすことで、少ない人数でも品質を保てます。

定着率:辞めない職場を作る

採用コストは1人あたり5万〜20万円と言われています。3ヶ月で辞められたら、そのコストは丸ごと無駄になります。

飲食店スタッフが辞める理由(複数回答)

給与が低い
68%
シフトの柔軟性がない
52%
人間関係
45%
体力的にきつい
40%
キャリアが見えない
35%

1. 給与を適正にする

『うちは最低賃金ギリギリだから…』という店は多いですが、時給を50円上げるだけで応募数は大きく変わります。

月160時間勤務で50円アップ=月8,000円。それで採用コスト20万円の人材が定着するなら、圧倒的に安い投資です。

2. シフトに柔軟性を持たせる

『毎週固定シフトで、変更不可』という店は敬遠されます。

  • 希望シフトを事前に聞く
  • 急な変更に対応できるバッファを持つ
  • 学生なら試験期間に配慮する

完璧な対応は無理でも、『聞いてくれる姿勢』があるだけで満足度は上がります

3. 教育の仕組みを作る

新人が入っても、忙しくて教える時間がない。見て覚えろ式の教育で、不安なまま現場に出される。

これが早期離職の大きな原因です。

  • マニュアルを用意する(紙1枚でもいい)
  • 最初の1週間は先輩がつく(完全に独り立ちさせない)
  • 定期的に声をかける(困っていないか聞くだけでいい)

4. 『ありがとう』を言う

当たり前のことですが、できていない店は意外と多いです。

忙しいピーク時を乗り切った後に、『今日もありがとう、助かった』の一言があるかないかで、スタッフのモチベーションは大きく変わります。

テクノロジーと人間の役割分担

省人化は人を不要にすることではありません。

機械にできることは機械に。人にしかできないことは人に。

  • 注文の入力 → 機械でいい
  • お客様の表情を読む → 人にしかできない
  • 会計処理 → 機械でいい
  • 常連さんに声をかける → 人にしかできない
  • シフト表の計算 → 機械でいい
  • スタッフの悩みを聞く → 人にしかできない

テクノロジーを使って作業を減らした分、人間にしかできない接客やコミュニケーションに時間を使う。それが、お客様にもスタッフにも選ばれる店になる道です。

まとめ

人手不足は、一朝一夕には解決しません。でも、できることはたくさんあります。

  • 作業を減らして、少ない人数で回す仕組みを作る
  • 給与・シフト・教育を見直して、辞めない職場にする
  • 機械と人間の役割分担を考える

完璧を目指す必要はありません。今日1つだけ変えてみる。その積み重ねが、1年後の大きな差になります。


業界トレンドコラム(全3回)、最後までお読みいただきありがとうございました。

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